iPadに揺れる電子出版の時代に
バスキアとフェルメールの文庫本サイズの画集を見比べる。
作品の実寸に関するクレジット表記が気になる。
- Gleen, 1984
100 x 114 inches
デカい本物のサイズで見たい、と思う。
文庫本サイズの画集からでは情報量が少な過ぎる。
過剰であることがバスキアの魅力だったのか、と改めて気づく。
- 真珠の耳飾りの少女、1665-66
44.5 x 39 cm
15年くらい前にマルチメディアCD-ROMのシリーズが出版されてフェルメール等が紹介された。(「新潮美術ROM」シリーズ)
マチエールを拡大して見ることができる点がひとつの売りだったように思う。シンプルだけど上品なUIで、絵画を鑑賞する邪魔にならないように配慮されていた。
- Untitled,1987
90 x 107 inches
頭の中をひっくり返したような細かい文字と意匠の組み合わせをバックにバスキア特有の歯がボロボロになって眼が落ちくぼんだキャラクターが配されている。
彼にとっての絵は、イメージの放出だったのか?思考の軌跡だったのか?
- 地理学者、1669
53 x 46.6 cm
フェルメールにとって人物は背景にしか過ぎない。彼が描きたかったのは、空間・光・素材のディテールだった。
タペストリーを這う光の粒に、窓辺から差し込む強い日光に、テーブルの上に広げられた紙の白さに、表現の悦びを感じていたのだろう。
いいかい よく聞くんだ
真っ白になるだろ!?
キャンパスはまっしろサ。
誰も足を踏み入れてないだだっ広いところに
肥えた土壌をストックしといて
絵をかくんだ!1984 筆者
走り書きのスクラップブック(夢二日記)より