林ナツミ

林ナツミのアーティスト・トークがあったので、東京都写真美術館に行ってきた。

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Hayashi Natsumi

日本の新進作家vol.12

路上から世界を変えていく

http://www.syabi.com/contents/exhibition/index-2017.html

 

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林ナツミ アーティスト•トーク

 

トーク・イベントは満員盛況でスタッフが急遽席を増やしていた。

「どうやって撮影しているのか?」という個人的興味があって、生の話を聞きたかったのだが、その秘密に触れることができた。

パートナー原久路(彼女の師匠であり、最近はシャッター係でもある。)をゲストに迎えたトークは、実際に浮遊写真を撮影してみたい人にとっても参考になっただろう。

 

なんと連写機能は使っていないそうで、1作品を撮影するために多いときでは300回近くも実際に跳んでいるそうだ。

跳躍時間は約1秒。1/500のシャッタースピードを使うことが多いので、シャッターチャンスは500回あることになる。その中でベストのタイミングを撮るためには、連射機能を使ってしまうと決定的瞬間を逃してしまう、という。(原氏のコメント)

しかも最近は3D写真や新作のトリプティックのようにスタイルが多様化してきた。こうした組写真になると、シャッターチャンスはますます難しくなるらしい。

3D写真の場合は、二台のカメラを寄せて同時にレリーズを気合で押していたそうだが、どうしても微妙なタイムラグを生じてしまうことがある。(最近は同時に切れる特注のレリーズを作ったそうだ。)

トリプティックの場合は、光の加減が刻々と変わってしまうので、正面と側面2枚を1セットで撮影し続ける。撮影するほうも大変だが、立ち位置を決めて3カ所を順番に跳び続ける本人はもっと大変だろう。

 

今回の出展作品の中で一番気に入った作品はこれ。

Thu.06.16.2011

http://yowayowacamera.com/banana/20110616135821.html

初期の作品はいろいろなポーズがあるが、最近の作品は前傾姿勢が深くなっていて、より浮遊しているようにみえるポーズになっている。

前傾姿勢を保つために助走して着地後も走り抜ける。数枚撮影しては出来上がりを確認し、跳んでいるときに体に力が入っていないようなリラックスしたシルエットを試行錯誤する。微妙な手のポーズや足の裏を上向きにした姿勢など身体の全てをコントロールする。着地点を見ない姿勢を保つこともポイントらしいが、慣れていない人にはできないことらしい。ワンピースを着た作品が多いのも、体の線が見えにくくするため意図的に選んでいる、という。跳躍を繰り返すことで身体に歪みを生じるため、整体の先生にメンテナンスしてもらうことは欠かせない。施術前後で数センチ身長が変わるそうだ。

 

「写真は真実を写すものではないのでは?」という問いから始まり、自分自身の身体を使ってイメージしたフォルムを切り取れるまで試行錯誤を繰り返す。

3D写真に興味をもったのも、平面が立体に見えることとジャンプが浮いて見えることに共通点を見出したからだ、と語っている。

今回のグループ展のように巨大な空間で作品を発表するときには、そのスケールや質感に細かい点まで拘って出力方式やレイアウトを調整する。

架空の日付で1年間(365枚)の浮遊写真を公開するプロジェクト「本日の浮遊 Today's Levitation」は、やっと半分近くまで来た。

(本日現在で、Sun.06.19.2011が最新作)

 

よわよわカメラウーマン日記

http://yowayowacamera.com/

日記形式のブログには世界中のファンからメッセージが寄せられている。

今年の予定は、イスラエルでのグループ展が控えているそうだ。国内は未定。

 

台湾で発行された写真集の日本語版

「本日の浮遊 Today’s Levitation」林ナツミ写真集

http://www.seigensha.com/books/978-4-86152-351-9

には、最初の3カ月分の作品が収録されている。