1Q84
しばらく友人から借りていた本を放置していたが、この連休にいっきに読み終えた。
一言でいえば、「魅力的な物語だが、違和感の残るディテール」といったところか。
「わかりやすさ」を狙った設定、「わかりにくい」展開。
「ハードボイルド」なプロット、「ロマンチック」なキャラクター設定。
「小さな」悪と「小さな」善による、きわめて個人的な歴史の数々。
なぜ、平家物語の長い引用が必要なのか?
なぜ、クラシックやジャズのウンチクをここまで散りばめる必要があるのか?
なぜ、登場人物たちは突然「失われて」いくのか?(まるで書きながらプロットが彷徨う連載小説のように)
ミステリーとしての要素は手堅いのだが、「ノルウェイの森」のような純愛路線と村上春樹らしくない性愛描写のバランスには違和感が残る。(無理して愛を語り、無理してセックスを語っているような印象を受ける部分が垣間見られる。)
良く言えば、「羊をめぐる冒険」「ノルウェイの森」「アンダーグラウンド」「ロング・グッドバイ」(チャンドラーの翻訳)…。
これまでの村上ワールドの数々を融合した作品、ともいえるのかもしれないが、最近、熱心な読者ではなかったこともあって、この作風とディテールにはうまく「コミット」できなかった。
村上には、もう語るべきモチーフがないのだろうか?それとも、この魅力的なキャラクター(大切なことだ)たちに託したい、もっと壮大なテーマの序章に過ぎないのだろうか?
【参考】Japan: ’1Q84′, the new bestseller by Haruki Murakami · Global Voices
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/05/29
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