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重力の虹

2009/03/22 17:10

昔から気になっていたが、まともに読んでいない、ピンチョンの『重力の虹』。昔買った「ピンチョンで大いに遊ぼう」(トーキングヘッズ叢書4)を久しぶりに読んでみたら、日野啓三の書評(抜粋)が載っていた。

ピンチョンで大いに遊ぼう―ピンチョンが、もしかするとわかってしまうかもしれない! (トーキングヘッズ叢書)

ピンチョンで大いに遊ぼう―ピンチョンが、もしかするとわかってしまうかもしれない! (トーキングヘッズ叢書)

(『重力の虹』は)地球の物体と生物たちをひたすら下方に地表に縛りつけてきた重力に逆らって、上方に垂直に脱出し、無限の大世界へ、宇宙という新世界へ向かおうとした人類の無意識の衝動の物語である。

<中略>

 文学作品として驚嘆するのは、そうした黙示録的暗示だけでなく、個々の人物たち(マッドサイエンティストから女スパイ、南アフリカの黒人軍団、日本のカミカゼ隊員たちまで)のきわめて私的で日常的な行動と心理、コミックや流行歌や民衆の無意識を、綿々と活写していることだ。国際的大企業の権力的陰謀も。しかもさりげない風景描写や心理記述の文章が実に魅力的で美しい。限りなくワイセツで限りなく形而上的(宗教的)で最低に俗っぽくユーモアラスで・・・そうわれわれの世界の感触が丸ごとあるのだ。


日野啓三(読売新聞93年8月23日朝刊)

Gravity's Rainbow

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